県立図書館についてのヒアリング
山下 真一 氏
※ 都城島津邸副館長。博士(比較社会文化)
ヒアリング日 平成28年8月17日(水)13:30~14:30
都城島津邸
聞き手 清家(生涯学習課)、福田(県立図書館)
文責 生涯学習課
レファレンスと選書をしっかり行う地域の知の拠点に
- 図書館は地域の知の拠点として象徴的な場であり、自分でいろいろなことを調べたり、調べ方が分からないときに図書館員に、何を調べたらいいかなど、アドバイスをいただいたりするところだと思う。図書館としての本来の機能、選書とレファレンスの力をさらに高めてほしい。
- 今、自分のルーツや、地域の事など調べたい方々が増えている。年齢を重ねるとルーツを調べたくなる人も多い。ニーズに応えていくために、図書館のレファレンス力を高めていく必要がある。図書館として、レファレンスの機能を大事にしたほうが良いのではないか。
- 図書館において、選書のあり方は大切だと思っている。 図書館が人気のある売れ筋の本を重点的に収集するのはどうか。図書館では、なかなか手に入りにくいもの、高価なもの、発行数も少ないもの、調べるのに便利なものを収集してほしい。手に入りやすい本は自分で買ってでも読む。個人では入手が困難な専門的な本が図書館にはあるといい。
- 高価でも、市民が調査・研究等のために必要な本の収集に力を入れてほしい。しかし、そのため、それなりの選書力が必要となる。
図書館の収集の役割
- 郷土に関する本の収集は大切だ。国会図書館の納本制度のように郷土の資料について納本条例のようなものがあるといいと思う。
図書館の保存の役割
- 地域資料については、県と市町村で分担保存ができるといい。
- 研究雑誌も、本当はバックナンバーをずっと保存しておいてほしい。
- 都城市立図書館には、上原文庫など、昔の貴重な資料が保存してある。図書館は郷土の歴史的資料の保存場所にもなる。公文書館の資料の公開場所を図書館につくっているところもある。(福岡市総合図書館)
図書館の開架について
- 管理上難しいだろうが、基本全部開架にしてほしい。わざわざパソコンで一つ一つ検索するよりも、棚で一望できるほうがいい。しかし、紛失を考えると難しいかもしれない。大学図書館では書庫の中に入れるところもある。書庫の中に担当がおり、持ち出すときに確認(チェック)がある。
図書館の集客力
- 九州でもカフェを入れた図書館が話題になった。図書館は集客力がある。都城市でも中心市街地活性化として、図書館を活用しようとしている。図書館側も生き残りをかけて、中心市街地につくる方向になっているのだと思う。
- 人が集まるのは重要だ。図書館に来るきっかけになれば良い。ただ、目的が集客に終始し、貸本屋化してはいけないと思う。
- 開館時間の延長等は、職員に負担がかかる。待遇などに配慮し、職員がスキルアップしようとするモチベーションを保つ必要があるだろう。
- 博物館的機能を持っている施設と図書館は近いと一番いいと思う。学芸員が調べものをする際に便利であるし、一般の利用者にとっても利用しやすい
専門職について
- 専門職は、人事異動がほとんどなく、専門的な仕事しかしないと思われるなど敬遠される事がある。専門的なスキルアップだけでなく、自治体職員としての研修や教育も充実させ、資質の向上に努めるとよいのではないかと思う。
- 自らも学ぶとともに、外に異動することは、専門知識が外の部署の業務にも生かされる事を(外の部署にも)示していくことになるのではないかと思う。