県立図書館についてのヒアリング
前田 穰 氏
※ 綾町長。平成20年度宮崎県町村会会長当時、宮崎県町村会・市町村振興協会主催による「地域づくり・ひとづくりを考えるシンポジウム~地域振興と図書館~」を開催。多くの県内役場職員、市町村議員等が図書館関係者とともに参加した。
ヒアリング日 平成28年8月29日(月)
聞き手 清家(生涯学習課)・大木(県立図書館)
文責 生涯学習課
綾町の図書館について
- 町長になるときの公約で「自然と調和した豊かで活力に充ちた教育文化都市づくり」を自分の大きなコンセプトにしていた。教育・文化は、人間社会の中では一番大事なテーマでなくてはならないと常に思ってきた。
当時、町には本屋はあるかないかで、公民館図書室しかなかった。教育文化都市として、子ども達から高齢者まで利用できるしっかりとした町立図書館を、どうしてもつくりたいと考え、2、3年がかりで教育拠点となる町立図書館をつくった。 - 今、館長をはじめ町立図書館の職員が頑張ってくれており、県内でも活気のある図書館となっていると思う。図書館と自治公民館との連携も進んでいる。自治公民館会議も1年に1度は図書館で行っている。
- 皆で子どもを見守ろうと、学校もオープンにしているが、「開かれた図書館」として、町外の方にも使っていただけるようにしている。
町における人づくりについて
- 役場職員にはシンクタンクの役割がある。よい人財を外からスカウトして連れてきて職員に刺激を与え、よい人財が育っていけるようにしている。人財がいないと企画・マネジメントが難しい。これはという人財はスカウトすることで、庁内の職員をしっかり育ててスキルアップをはかろうとしている。
図書館と人財育成について
- 長く町長をしているが、やはり「人づくり」が重要だ。よい人財が育たないと、その市町村をマネジメントをする者がいなくなる。人財を育てるには役場の機能、図書館の機能は大事になってくる。人づくりの拠点、地域づくりの拠点は図書館である。
- 県立図書館主催により平成19年度元鳥取県知事であった片山善博氏の講演、片山氏と慶應義塾大学教授の糸賀雅児氏のトークセッションのあった際、パネリストの一人として私も参加した。あの出会いにより、図書館の機能というのは大変大きいと痛切に感じた。
県内市町村図書館等のネットワークづくりを
- 図書館もこれからは企画力だ。どうすればニーズに応えられるのか、どうやったら攻めの図書館運営ができるのか、(町の図書館には)何かあれば県立図書館に相談してもらいたいと思っている。
- 県立図書館と市町村の図書館の連携を高めて、図書館の機能、司書の役割を皆が理解しあわなくてはいけない。
- 県立図書館にはイニシアチブをとっていただき、皆で勉強しあう必要がある。
- 負担金を集め、図書館のネットワークをつくり、県立図書館が事務局となってもらい色々な事業をしてもらえるとありがたい。ネットワークづくりには私も協力したい。今、県内市町村が分散せず力を結集して、ふるさと宮崎がひとつとなる必要がある。
- 図書館の役割、位置づけをもっと高め、そこで働く司書の皆さんをはじめ職員の皆さんをフォローアップする、それこそが今政治に求められている一番大事なことだと思っている。
文教の宮崎へ
- 宮崎は教育に適している。気象条件はいいし、自然の教材がたくさんあるし、そういう面での宮崎県づくりを出生率日本一を目指すには、文教のまちとして学校教育から大学教育まで宮崎でできると県として叫んでもらい、その中に図書館を位置づけてもらえるといい。ソフトの面をもっとアピールすると、宮崎県ほど人づくりの条件が揃っているところは他にないと思っている。若者定住を図るには、教育文化を真ん中に置く必要がある。子どもたちに夢と希望を与えるような人づくりをしたい。