4.現状と課題
6.障がいのある人に関する問題
(1).現状と課題
我が国は障がいの有無に関わらず、国民だれもが相互に人格と個性を尊重し支え合う共生社会(ノーマライゼーションの理念)の実現を目指しており、そのためにバリアフリーの社会づくりが推進されています。
バリアとは障壁のことであり、障壁を取り除くことをバリアフリーと言います。バリアには、物理的なバリア、文化・情報的なバリア、心理的なバリアがあります。
街を歩くと、車椅子で通れるように段差のない街づくりが進められていることに気が付きます。また、目に障がいのある人が歩きやすいような環境の整備も行われつつあります。そのような点で、物理的なバリアについては改善がなされてきています。
しかし、大きな課題は、障がいのある人に接する人々の心理的なバリアの除去であり、障がいのある人の基本的人権の保障に関わる課題だと言えます。
心理的なバリアを乗り越えるために大切なことは、私たちが、「障がいのある人々は、哀れむべき不幸な存在である」という偏見を決してもたないようにすることです。障がいも個性の一つとしてとらえ、その個性を大切にしつつ、共に生きていく社会の実現を図らなくてはなりません。
このように私たち一人一人が、障がいに対する正しい理解と認識を深め、障がいのある人が差別されることのない社会の実現に努めるとともに、自立と社会参加に向けた支援を行うことが必要です。
(2).指導の在り方及び配慮事項
社会教育においては、障がいのある人に関わる人権上の問題に主体的に気付くことが必要です。そのためには、学習機会の拡充とともに、障がいのある人との交流など多様な学習に努め、障がいのある人に対する理解を深めていくことが大切です。
指導においては、以下の点に配慮することが必要です。
- 障がいのある人との交流や学習活動を通して、障がいを正しく理解することにより、障がいのある人に関する問題を社会全体の課題として認識し、共に解決していこうとする態度を育成する。
- 一人一人の違いを個性としてとらえ、障がいのある人に対する差別や偏見の問題を解決していく実践力を身に付けるため、共に生きる社会の実現を目指す態度を育成する。
- 障がいのある人の自立と社会参加を実現していくために、関係機関との連携を深めるとともに、就労等の支援のための情報提供を行う。