4.現状と課題
3.女性に関する問題
(1).現状と課題
女性の地位向上は、我が国のみならず世界各国に共通した人権課題となっており、国連において昭和50年を「国際婦人年」と定め、これに続く10年間を「国連婦人の10年」として位置付け、女性の問題に関する認識を深めるための活動が各国に推奨されました。
さらに、昭和54年には「女子差別撤廃条約」の採択(日本は昭和60年に批准)、平成5年には「女性に対する暴力の撤廃に関する宣言」が採択されるなど、女性の地位向上に向けた様々な取組が国際的な規模で行われています。
我が国においても、こうした国際的な動向にも配慮しながら、「男女共同参画社会」の実現を目指して様々な取組がなされています。
まず、日本国憲法においては、法の下の平等について規定し、性別により政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない(第14条)と定めるとともに、家族関係における男女平等について明文の規定(第24条)を置いています。
また、平成11年には「男女共同参画社会基本法」が施行され、平成12年には「男女共同参画基本計画」、平成17年には「男女共同参画基本計画」(第2次)が策定されました。さらに、ストーカー行為やドメスティック・バイオレンス(DV)を規制する法律も整備されました。
宮崎県においても平成13年に、「男女共同参画社会」づくりの推進拠点となる宮崎県男女共同参画センターを開設、平成14年に「みやざき男女共同参画プラン」の策定、平成15年に「宮崎県男女共同参画推進条例」を施行するなど、積極的に取組を推進しています。
平成15年に行われた県の「人権に関する県民意識調査」によると、「人権侵害を受けた」と回答した人の割合は29.7%となっており、その理由に関しては「女性であること、男性であること」が26.3%と最も多い回答となっています。
さらに、「女性に関する人権上の問題」では、「育児、家事、介護などを男女が共同で担うことができる社会の仕組みの未整備」が44.5%、「職場においての採用、賃金、配置、昇進などでの格差」が38.5%、「男女の固定的な役割分担意識」が33.1%、「DV」が29.9%、「セクシュアル・ハラスメント」が24.8%という結果が出ています。このような状況に対して、県民が望んでいる女性の人権問題の取組については、「男女が共に、働きながら、家事や育児・介護などを両立できる環境を整備する」が58.8%と最も高い回答になっています。
平成17年度に実施した宮崎県の「男女共同参画社会づくりのための県民意識調査」では、男女の平等感について、家庭生活、職場、慣習等の多くの分野で「男性優遇」という結果が出ており、「男女は平等になっている」と感じる割合は1割程度にとどまっています。
このように、社会生活の様々な場面において、女性が不利益を受けることが少なからずあります。さらに、DVや性犯罪、セクシュアル・ハラスメント、ストーカー行為等、女性に対する人権侵害が大きな社会問題となっており、まだまだ「男女共同参画社会」が実現されているとは言い難い状況にあります。
このような状況は、今後、社会が発展していく上で大きな障害となる問題です。女性と男性が互いに人権を尊重し、性別に関わりなく、その個性と能力を十分に発揮することのできる「男女共同参画社会」の実現を目指した取組を、今まで以上に積極的に推進していくことが求められます。
(2).指導の在り方及び配慮事項
社会教育においては、性別に基づく固定的な役割分担意識を是正し、人権尊重を基盤とした男女平等の意識を確立するため、男女平等を推進する教育の機会の充実を図ることが求められています。
指導においては、以下の点に配慮することが必要です。
- 男女が互いの人権を尊重し、それぞれの個性と能力を発揮できるような地域社会づくりを推進する。
- 一人一人の自立の意識を育み、男女平等の理念を推進する教育の機会の充実を図る。
- 女性が精神的、身体的及び社会的に、より自分らしく生きていけるような社会を実現するために、男女が共に相手を正しく理解し、認識を深めるための教育を推進する。
- 女性の人権について正しい知識と理解を深めるために、関係機関と連携した教育を推進する。
- 男女が性別役割分担意識をもつことなく、仕事と家事・育児・介護を両立できる社会を築くことの重要性が理解できるような教育を推進する。
- DVやセクシュアル・ハラスメント等、女性を取り巻く様々な社会問題の現状と課題を把握し、女性の人権確立のための正しい理解と認識を深めるための社会教育活動を積極的に推進する。
宮崎県男女共同参画センターの主な事業
ア.情報提供事業
図書、ビデオの閲覧・貸出、ホームページの開設
イ.啓発事業
広報誌「ブリリアント」の発行
男女共同参画講座、出前講座など各種講座の開催
ウ.相談事業
男女共同参画に係る電話相談及び面接相談
専門相談員(弁護士、臨床心理士)による法律相談、健康相談
エ.交流事業
学習や交流の場の提供(研修室・交流室)
登録団体の交流会の実施
【連絡先】宮崎県男女共同参画センター
〒880-0804 宮崎市宮田町3番46号 県庁9号館1階及び3階
TEL : 0985-32-7591 FAX : 0985-60-1833
E-mail : [email protected]
ホームページURL : http://www.mdanjo.or.jp/