4.現状と課題
11.インターネットによる人権侵害の問題
(1)現状と課題
近年、各家庭や個人でのインターネットの利用の機会が増加しています。インターネットは、様々な事柄を調べることができると同時に、だれでも自由に情報の受発信ができ、世界とつながることができる便利な側面をもっています。
しかし、インターネットによる情報の受発信の容易性や匿名性から、電子掲示板やチャット等を利用した誹謗中傷による個人の名誉の毀損や差別を助長する表現の掲載、少年犯罪者の実名や顔写真の掲載、個人情報の流出など、人権侵害に関わる情報モラルの問題が数多く発生しています。また、有害情報を掲載している携帯サイト等が原因で幼児児童生徒が犯罪に巻き込まれたり、少年自身が犯罪を犯したりする事件も増加の傾向にあります。
このようなインターネットによる人権侵害や犯罪の増加に伴って、それぞれの人権を守るために、平成14年5月には「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(プロバイダ責任法)が施行されました。この法律は、インターネットによって自己の権利を侵害されたとする人が、関係するプロバイダ等に対し発信者の情報の開示を請求できるものです。
宮崎県においては平成16年4月に「宮崎県個人情報保護条例」、また、国においては平成17年4月に「個人情報の保護に関する法律」が施行され、個人の情報や権利が守られるような制度が整備されました。
しかし、インターネット等による人権侵害は後を絶ちません。今後、インターネット利用者やプロバイダ等に対して、個人のプライバシーや人権を守るための研修や啓発がますます重要になってきます。
また、このようなインターネットによる人権侵害を防ぐには、利用者一人一人が他の人の人権を侵害しないよう個人の人権意識を高めるとともに、インターネットについての正しい知識を身に付けるような指導が求められます。
(2)指導の在り方及び配慮事項
社会教育においては、インターネットを活用した学習機会の提供や学習内容の充実を図るとともに、情報モラルの指導の徹底が重要となってきます。そのためには、インターネットについて正しい理解を図るための教材開発や社会教育指導者の養成等が求められます。
指導においては、以下の点に配慮することが必要です。
- インターネットの情報モラルに関する学習機会の提供や学習内容の充実に努める。
- 情報の収集・発信における個人の責任や情報のモラルについて、正しく理解することができるように資料の精選や提供方法の充実を図る。
- インターネット利用上のルールやマナーについて、広報等を通して、家庭や地域社会への啓発に努める。