4.現状と課題
10.犯罪被害者等に関する問題
(1).現状と課題
現代社会においては、殺人や傷害などの生命、身体に対する犯罪行為が多発しています。こうした犯罪行為により、犯罪被害者やその家族は直接的な被害だけでなく、入院生活をしたり、働き手を失ったりすることによる経済的被害や、マスコミの行き過ぎた取材や報道などで受ける精神的被害など二次的被害といわれる様々な被害を受け、それまでの人生が一変することがあります。
このような状況の下、近年、我が国では犯罪被害者等の人権への配慮と保護に対する社会的関心が高まり、平成16年12月には犯罪被害者等の権利と犯罪被害者等に対する配慮と保護を図るための「犯罪被害者等基本法」が成立しました。
宮崎県では、平成16年4月に設立された「社団法人宮崎犯罪被害者支援センター」が、犯罪被害者等支援についての広報啓発を行っています。また、専門的な研修を受けた支援活動員による電話相談や面接相談、病院、裁判所等への付き添い、カウンセリングや法律相談の仲介など、個々の犯罪被害者等に応じたきめ細かな支援を行っています。
今後は、「犯罪被害者等基本法」をはじめとした関係法を適切に運用しながら、犯罪被害者等のニーズを踏まえた支援活動を行っていく必要があります。また、犯罪被害者等がおかれている立場を踏まえ、関係機関・団体と連携して、社会全体で支えていこうとする態度を育むための教育の推進が求められます。
(2).指導の在り方及び配慮事項
社会教育においては、犯罪被害者等が精神的被害や経済的被害など様々な苦しみを背負っていることを理解するとともに、犯罪被害に対する周囲の人からの差別や偏見、マスコミによるプライバシーの侵害など様々な問題について認識を深めることが必要です。
指導においては、以下の点に配慮することが必要です。
- 犯罪被害者等の立場を十分配慮した上で、相手を傷つけたり不快な思いをさせたりしないなど、慎重に学習が進められるように努める。
- 法の整備や犯罪被害者等の支援の必要性に関する意識の高まりなどについて、調査したりまとめたりする機会を設けることにより、犯罪被害者等の思いや願いを十分に理解できるように努める。