2.社会教育における人権教育
1.基本的な考え方
これからの社会教育における人権教育の目指す方向については、以下の視点に立って取組を進めることが肝要です。
(1)人権教育の意義・目的
人権教育とは、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」によると「人権尊重の精神の涵養を目的とする教育活動」を意味し、「国民が、その発達段階に応じ、人権尊重の理念に対する理解を深め、これを体得することができるようにすること」を基本理念としています。
また、「人権教育・啓発に関する基本計画」では、「社会教育については、生涯学習の視点に立って、学校外において、青少年のみならず、幼児から高齢者に至るそれぞれのライフサイクルにおける多様な教育活動を展開していくことを通じて、人権尊重の意識を高める教育を行っていくこと」が必要であると述べており、さらに、「学校教育及び社会教育における人権教育によって、人々が、自らの権利を行使することの意義、他者に対して公正・公平であり、その人権を尊重することの必要性、様々な課題などについて学び、人間尊重の精神を生活の中に生かしていくことが求められている」と述べています。
このことから、学校教育のみならず、社会教育においても、人権尊重の精神が正しく身に付くよう、地域の実情を踏まえつつ、家庭や学校、地域や職場などあらゆる場において、人権教育・啓発を推進することが求められています。
人権感覚の育成
平成18年に「人権教育の指導方法等の在り方について[第二次とりまとめ]」が出され、学校教育において、人権についての知的理解を深めると共に人権感覚を十分に身に付けることを目指すための指導方法の改善・充実を求めています。このとりまとめは、学校教育における人権教育の指導方法等の改善・充実の目指すべき方向を示したものですが、社会教育においても、これを参考にしながら指導方法などの在り方の改善を図っていく必要があります。
そのためには、学習者一人一人が、人権の意義やその重要性についての正しい知識を十分に身に付けるとともに、日常生活の中で人権上問題のあるようなできごとに接した場合、直感的にそのできごとがおかしいと思う感性や、日常生活の中で人権尊重を基本においた行動が無意識のうちにその態度や行動に現れるような人権感覚をも十分に身に付けることができるような研修会の充実を図ることが重要です。