1.本県の人権教育の基本的な考え方
4.人権教育の基本認識
(1)人権について
人権については、様々なとらえ方がなされていますが、人権擁護推進審議会答申(平成11年)においては、「人々が生存と自由を確保し、それぞれの幸福を追求する権利」と定義しています。また、人権教育・啓発に関する基本計画では、人権を「人間の尊厳に基づいて各人がもっている固有の権利であり、社会を構成するすべての人々が個人としての生存と自由を確保し、社会において幸福な生活を営むために欠かすことのできない権利」と説明しています。
人権の内容には、生命、自由及び身体の安全、法の下の平等などに関わる権利があります。また、人が幸せに生きる上で必要不可欠な思想・良心の自由、集会・結社・言論の自由、教育を受ける権利なども含まれています。
このような個々の権利は、それぞれが固有の意義をもつと同時に、不可分なものであり、かつ、相互に補完する関係にあります。すなわち、これらの諸権利は、全体で一つの枠組みとして人権を構成しています。
人権を侵害することは、相手がだれであれ、決して許されることではありません。すべての人は、他の人々の尊厳や価値を尊重し、それを侵害してはならないという義務と責任とを負います。特に、生命の大切さについては、幼児期から繰り返し教育していく必要があります。
(2)人権教育について
人権教育は、「人権尊重の精神の涵養を目的とする教育活動」(人権教育及び人権啓発の推進に関する法律第2条)を意味し、「国民が、その発達段階に応じ、人権尊重の理念に対する理解を深め、これを体得することができるよう(中略)行われなければならない。」(同法第3条)とされています。また、国連総会で取り組むことが決議された「人権教育のための世界計画」では、「人権教育とは、知識の共有、技術の伝達、及び態度の形成を通じ、人権という普遍的文化を構築するために行う、教育、研修及び情報」であると定義しています。
(3)人権感覚について
人権感覚とは、「人権問題を直感的にとらえる感性及び人権への配慮が態度や行動に現れるような感覚のこと」です。人権感覚を身に付けるためには、家庭をはじめ地域社会の中で自らの大切さや他の人の大切さが認められていることを実感できるようにすることが肝要です。そのためには、家庭、地域社会の中に、人権尊重の精神がみなぎっていることが求められます。
(4)人権尊重の理念及び人権教育の目標について
人権尊重の理念は、「自分の大切さとともに、他の人の大切さを認めることを通して、共に生きる社会の実現を目指すこと」です。
そして、そのことを単に理解するだけにとどまることなく、様々な場面で具体的な態度や行動に現すことができるようになること、つまり、「人権感覚を身に付けさせること」が人権教育の目標です。
したがって、家庭や地域社会において人権教育に取り組むに当たっては、人権に関わる概念や人権教育が目指すものについて明確にするとともに、指導者がこれを十分に理解し、組織的・計画的に進めることが求められます。