1.本県の人権教育の基本的な考え方
人権教育の国内外における潮流
20世紀、人類は二度にわたる世界大戦の惨禍を経験し、平和がいかにかけがえのないものであるかを学び、貴重な教訓を得ました。それは、人権の尊重こそが平和の礎であるということです。この教訓を形あるものとするために、国際連合(以下「国連」という。)は、昭和23年(1948年)に世界人権宣言を採択し、あらゆる人々の人権を守ることを全世界に求めました。その後、国連は世界人権宣言を基に、国際人権規約をはじめとする人権に関する諸条約を作成し、採択しました。世界人権宣言の採択から半世紀を経た現在、多くの国がそれらを批准するに至っています。しかし、依然として世界各地で地域紛争やテロなどが多発し、多くの犠牲者を出しています。また、様々な理由による差別も後を絶ちません。
このような状況の下で、国連で採択され、各国が署名し、あるいは批准した人権に関する宣言や諸条約などを実効あるものとするために、国連は、平成7年(1995年)から平成16年(2004年)までの10年間を、「人権教育のための国連10年」と定めました。そして、「人権教育とは、知識と技術の伝達及び態度の形成を通じ、人権という普遍的文化を構築するために行う研修、普及及び広報努力」と定義し、様々な取組を行ってきました。
日本政府は、このような世界の動向を踏まえ、また国内の声を受け止めて、平成9年(1997年)7月に「人権教育のための国連10年」に関する国内行動計画を発表しました。その中で、「地方公共団体、民間団体等がそれぞれの分野において、この行動計画の趣旨に沿った様々な取組を展開することを期待する。」と述べています。
これを受けて、宮崎県においては、平成11年(1999年)に「人権教育のための国連10年」宮崎県行動計画を策定しました。そして、この計画に基づき、人権という普遍的文化(人権文化)の創造を目指し、一人一人が有している人権を尊重し、共に生きる社会の実現に向けて、様々な施策を実施してきました。
しかし、平成12年(2000年)の人権教育及び人権啓発の推進に関する法律の施行や宮崎県行動計画が目標年次を平成16年(2004年)までとしてきたことなどを踏まえて、新たに「宮崎県人権教育・啓発推進方針」を平成17年(2005年)1月に策定しました。また、宮崎県教育委員会においては、同年 4月に「宮崎県人権教育基本方針」を策定しました。
なお、国連総会においては、「人権教育のための国連10年」の取組の終了を受けて、引き続き人権教育に取り組んでいく必要があるため、平成17年(2005年)1月1日から「人権教育のための世界計画」に取り組む決議を採択しました。